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34 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2008/02/25(月) 23 20 35 1Uv/OP2l アニ研部室 こなた「こうちゃんいるー?」 こう「あ、先輩方。どうしました」 こな「今月のコンプ無いかなと思ってさー。」 こう「ありますよ。あー、ひよりんのオリキャラですか」 こな「そうそうそう。かがみんも見て見て」 かが「・・・はー・・・オリキャラってか何と言うか・・・」 こな「まあ、私的には全然アリだけどね」 かが「こんな感じでずっとほのぼのと話が続くのなら健康的だわね」 こう「まあ、その辺はお察しで・・・。あ、このキャラの同人も一冊ありますよ、どうぞ」 こな・かが「(うっ・・・)」 ボソボソ かが「(ちょっと!覚えがある内容じゃない!)」 こな「(いやー、こんな事細かに見られてたとは・・・)」 かが「(だから学校ではやめようって言ったんでしょ!)」 こな「(えーかがみんもノリノリだったじゃーん)」 こう「アレ、不評でした?キャラのセリフとか高1が描いたわりに臨場感あると思うんスけど」 こな「いや・・・よ、よ、良くできてると思うナー」 かが「そ、そ、そうね。キャラ愛が感じられるわにゃ(噛んだ)。じゃあ、私達これで失礼するんで」 こな「あ、ありがとね、こうちゃん」 こう「いえいえ、いつでもまた来てください」 こう「…(でも学校では控えた方がいいですよ、先輩方)」 380 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 本日のレス 投稿日:2008/03/03(月) 00 36 06 4OByLZlc ほっかいどーGJ! そして真夜中の一発ネタ行きます。 「はあ?こなたファイトぉ?」 帰り道、こなたは突拍子も無い事を言い出した。まあいつものことだけど。 「そう、四年に一度世界各国のこなたが一堂に会して戦うんだよ」 「そういえば、今年はオリンピックイヤーですよね」 「こなちゃん凄いね~♪」 いや、あんたらおかしいだろその反応は。慣れたけど。 「でね、戦って戦って戦い抜いて、最後に勝ち残った一人がかがみを嫁にできるんだ」 「どこから出て来た設定だよ!」 「ちなみにあたしはネオサイタマ代表の、シャイニング・コナタなんだよ。 あたしのアホ毛が光って唸る!かがみを奪えと輝き叫ぶ!」 「はいはい」 軽い脱力感に見舞われながら、私は適当に相槌を打つ。 その時、前方に大勢のこなたが立ち塞がった。文字通りこなたがいっぱい居る、冗談抜きで。 おお神よ、ここはわたしのパラダイス? 「ふっ・・・遅かったね」 ニヤリと笑うこなた(ネオサイタマ代表)の拳に浮かぶのは毎度御馴染みカドカワの紋章。 コートとカバンが高々と宙に舞う。 「こなたファイトォーーーーー!!!レディーーーGO!!!」 戦えこなた、地球がリングだ! ・・・多分。 「俺の・・・俺のネタなのに・・・」 そして、電柱のカゲで某店長が泣いているのを私は見逃さなかった。 どうでもいいけど。 387 名前:14-586 投稿日:2008/03/03(月) 01 26 24 4EOruEYZ 380 「思いだして、こなた。 あの陵桜祭で見た境地・明鏡至粋…… 曇りのないかがみちゃんへの気持ち、性別も邪魔な常識も取っ払った、本当の気持ち……」 「本当の、気持ち……!」 大丈夫よ、別に。 こなたはもう近寄らないで。 こなたと一緒にいると、辛いのよ!だって、私…… ……こなたぁ…… 「そうだ、あの時かがみは私を拒絶した。だから私は苛立って、あやうくお父さんの罠に…… でも、別れ際の泣きそうな顔、あれは嫌いだから避けたんじゃなくて…… そっか、見えたよっ、かがみの愛のひとしずくっ」 「(ええ、それこそ正しく真の百合百合もーどですっ!!)」 「むぅっ、なんだこの気迫はっ!?今までのこなたのモノとは違う……まさかぁっ!?」 「そうだよ、女同士だからって諦めてたけど、私決めた!!」 「ぬおおおおっ、お父さんも狙っていたのに、キサマがかがみちゃんとケコーンする気かぁっ! だがつけ上がるなよこなたっ、かがみちゃんと神前で」 「ごちゃごちゃうるさいっ、しゃぁーいにんぐっ、うぃざぁーーどっ!」 「ぐぼぁっ!!なっ、こんな馬鹿なぁっ!?この俺がっ、当方腐敗マスターファーザーがっっ、 手も足も出せんなどということがあってぇぇぇ、たまるかぁあああぁぁぁっ!!」 「……諦めが悪いですよ、そう君。あなたはあなたの娘に敗れたんですっ」 ……はっ、まてよ、ということは、最後は恥ずかしい告白の後こなたとかがみんが!! きさまあっ、一体なんてものを想像させるんだあああっ!! 437 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2008/03/03(月) 22 59 45 I97ln1Ut こねた 「私がいちばん幸せな時ってどんな時か知ってる?」 「んー限定グッズを手に入れたときとか?」 「ふふ、正解はかがみが隣にいる時だよ」 「…それじゃあ私がいちばん幸せな時も教えてあげよっか」 「どんな時?」 「こなたが私の隣にいる時よ」 459 名前:名無しさん@お腹いっぱい。投稿日:2008/03/04(火)01 22 58 x8BJHZgd じゃあ、ちょっと小ネタでも 「ねぇ、かがみん。」 「んー?何よ。」 「やっぱさぁ。」 「だから何よ。」 「かがみんのフトモモは気持ちいいね~。」 「こ、こら!なんてこと言うんだアンタは!」 「だってさぁ、気持ちいいんだもん。この柔らかさがたまんないよ。プニプにしてるしさ。」 「ほ~う、それは私の太腿に脂肪がついてるってことをいいたいのね。って、頬擦りするな!」 「照れてるかがみんの顔をこう、下から見上げるのもまた格別だね。」 「ホント発言がオヤジだな。」 「でも、照れてるかがみの顔が好きなのは本当だよ?」 「え、あ、う、、、うん。」 「あ、えっと、そのぉ、か、かがみんの膝枕が気持ちいいから、なんか眠くなっちゃったよ。」 「ネットゲームのやりすぎじゃないの?」 「最近はちゃんと寝てるよ!かがみんのひざが気持ち良過ぎるの。じゃオヤスミ。」 「はいはい。」 (あ~、ヘタレだなぁ。私って) 585 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 本日のレス 投稿日:2008/03/06(木) 19 30 21 toPp/vAV 「こなたー。 ……。 ……こーちゃん。 …………いずみん。 こな……たん? こなこな……。 私の嫁? ……こなた様。 ご主人様……」 「かがみさんや、さっきから私の写真相手になに「ひゃっほう!?」」 こなたに聞かれました。 588 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 本日のレス 投稿日:2008/03/06(木) 19 58 49 toPp/vAV 585の続き 「かがみんは私の呼び方を考えてたの? ふ~ん(ニヤニヤ)」 「な、何よ! 何か言いたい事があるならはっきりと……!」 「いやいや~、な~んにもないですよ? 未来の旦那様?」 「またあんたは人を馬鹿に……え?」 「期待してるよ?」 「え? ちょっ、待っ……えぇ?!」 「さてと、どこか遊びに行こっか?」 「こなた、今あんた私の事を……」 「ケーキバイキングでも行こうか? さあ行こ行こ~♪」 「こらっ! 待ちなさい!」 後ろから見ても耳が赤いのまるわかりよ、ばか……。 …………まぁ。 あたしも、なんだけどね……/// 654 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 本日のレス 投稿日:2008/03/07(金) 07 30 03 BvZIjsv6 「こなたー」 「どしたの、かがみ様?」 「ううん、ちょっと呼んでみただけ」 「かがみん」 「どうしたの、こなた」 「何でもないよ。 ちょっと呼んでみただけ」 チュッ 「ん……」 「急にキスしてくるなんて、どうしちゃったのさ?」 「え? ああ、こなたの頬が柔らかそうだなーって思ったら自然に、ね」 チュッ 「はむ……」 「あんただってキスして来たじゃないの」 「いや、かがみの横顔が綺麗だなーって思ったら自然と、ね」 「ふふふ……」 「えへへ……」 「夜ね」 「夜だね」 「一緒に寝よっか、夜だし」 「そうだね。 夜だし、仕方ないよね」 「じゃあ部屋まで手を繋いで行きましょ」 「うんっ」 ……。 「……お母さん達、仲良しだよね」 「お姉ちゃん、眠いよぅ……」 「相変わらず可愛いよね、我が妹よー」 「きゃっ! どこ触ってるのよ、お姉ちゃん!」 「私達も一緒に寝よっか」 「うん……」 655 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 本日のレス 投稿日:2008/03/07(金) 07 41 05 BvZIjsv6 「朝ね」 「朝だね」 「コーヒーにしましょうか、朝だし」 「そうだね。 モーニングコーヒーだね」 「砂糖はいる?」 「ううん、いいよ」 「苦いわよ?」 「かがみと一緒なら甘くなるよ」 「そっか」 「うん」 ゴク……ゴク…… 「苦いわね」 「苦いね」 「あ……」 「? どうしたの」 「コーヒーのおひげが付いてるわよ」 「え?」 ペロッ 「ん……取れた」 「あ、ありがと……」 「甘いわね」 「甘いね」 ……。 「お姉ちゃん、砂糖いる?」 「あ"ー、お母さん達見てたから甘いのは食傷気味だわ。 ブラックで貰える?」 「うん、わかった」 「……ところでさ」 「何? お姉ちゃん」 「やっぱり可愛いわよね、我が妹よー」 「お姉ちゃん、それ3回目ー」 656 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 本日のレス 投稿日:2008/03/07(金) 07 53 12 BvZIjsv6 「朝ご飯美味しいわね」 「うん。 でも……」 「何?」 「さっきからかがみん、梅干し食べ過ぎじゃない? もう7個目だよ?」 「……」 「何か隠してる?」 「実は……」 ……。 「妹、聞いた?」 「どうしたの? お姉ちゃん」 「私達に弟か妹が出来るって!」 「ホント!?」 「妹、急いでもち米買ってきて! あと小豆とゴマ塩!」 「どうするの、お姉ちゃん?」 「決まってるじゃない、お赤飯を炊くのよ!」 「ラ、ラジャー!」 「あ、ちょっと待った!」 「な、何? どうしたの?」 「可愛いわね、我が妹よー」 「それ朝から通算25回目!」 「行ってきますのチューは?」 「う……」 チュッ 「……やっぱり可愛いわねー」 「……帰ってきたら絶対仕返しするんだから」 「楽しみにしてるよ、我が妹よ」
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ヴィィィィィィィ、 ヴィィィィィィィ、 ヴィィィィィィィ、 「んあ……誰だよ?こんな夜中に?……」 ゴールデンウィーク初日の夜。 特に何もせずダラダラと過ごした俺が一日を終えようとベッドに入った後だった。 ヴィィィィィィィ、 ヴィィィィィィィ、 携帯を手に取る。 AM 01 35の表示。 こなたからの着信だった。 「……こなた?なんだよ、明日は朝からみゆきとデートなのに……」 ピ! 「ふぁい……もしもし?こなた?どした?こんな夜中に。あ、言っとくけどCLANNADは進んでねーぞ」 「男……」 「ん?何かテンション低いな?どうしたんだよ?」 「かがみんが……かがみんが……(ブツブツ)」 「ん?よく聞こえないんだけど?すまん、俺、明日の朝早いから用件は手短に……」 「かがみんが自殺しちゃうかもしれない!どうしよう!?」 泣き叫ぶような声だった。 「んなッ!!?」 言葉が出ない。 心臓を鷲掴みにされたみたいだった。 血が逆流する感覚。 「お……おい……落ち着けよ?何があったんだ?」 自分の声が震えているのが分った。 だって、かがみが自殺する理由で真っ先に思いつくのは…… 俺がフッたから……? いやいやいや、いくらなんでもそれは俺の自意識過剰ってもんか?いや、でも…… 「つかさから電話があったんだ……今日の夜。かがみん、ハサミを握って、じーっとそれ見つめてて……自殺がどうとかって言ってたらしいの……」 「……!!」 「それだけじゃないんだよ?かがみんに口止めされてたんだけど……かがみん一昨日の帰り、急にボーっとしてっていうか、フラフラしてっていうか、とにかく、突然おかしくなって……線路に落ちそうになったんだよ!なんていうか、『線路に飛び込む』っっていうのに近い感じで……」 一昨日……0時回ってるから正確には3日前か。 確かこなたとかがみとつかさちゃんでゲマズに行くって言ってた日だな…… 「そ、そう……か……もうちょっと……く、詳しく頼む」 俺は、こなたがつかさちゃんから聞いたって言う話を全部聞き出した。 「かがみ本人は、なんて言ってるんだ?」 「『何でもない』の一点張りらしい……」 「そうか……」 「でね……男……男はかがみんがおかしくなっちゃったことについて何か心当たりない?」 「!!!」 思わず携帯を落としそうになった…… 眠気なんかとうに吹き飛んでいるはずなのに、頭がくらくらしていた。 「い、いや……ごめん、ちょっと……わからない……」 「そう……」 「な、何か心当たりを思い出したら……また連絡するよ……」 「そっか、ありがと。ごめんね、遅くにさ。まあ、私にとっちゃバリバリの活動時間なんだけど」 「あ、ああ……」 こなたの冗談にツッコむ余裕もなかった。 「じゃ」 「おう……」 ピ! ……違う、よな? 俺のせいじゃない。 俺のせいじゃない。 俺のせいじゃない。 その日、俺は一睡もできなかった……
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こなたのボランティア 季節は春。 とある喫茶店にて、こなたとかがみの二人が居た。 「…え?」 コーヒーを飲みながら、こなたは聞き返す。 「だから…」 かがみは少し照れ臭そうに言う。 「…妊娠、したの」 「そっか…おめでとう!かがみん」 「あ、ありがとう…こなた」 高校を卒業して早4年。 かがみは、京都の大学で付き合い始めた男の人と、1年前に結婚していたのだ。 かがみの主人は、現在大手企業を勤めているらしく、世間一般的に言う大金持ちだった。 結婚式でかがみは両親宛の手紙を読んでいる時、久しく泣き顔を見た。 正直こなたも、もらい泣きしそうになっていた。 でも、かがみも相手もすごく幸せそうだった。 その夜の親友達皆での二次会はとても楽しかった。 すごいなあ、かがみんはもう生涯の相手を見つけたんだな… それに比べて、今の私は大学にも行かなくなってしまった。 つくづく自分が情けなくて仕方がない。 そして、今日久々にかがみと会って改めて現実を痛感した。 大学になったら少しは変われるかなと思っていたが、 ろくに何もしないでネトゲ生活が変わるはずもない。 更生しようと決心したことは多々あった。 だが、実行に移すことができず、 ネットという誘惑に負けてしまうのだ。 毎日のように自分の部屋にとじこもり、 パソコンをつけては鬱に対する気休めのためにネトゲをする。 もう、やる事がそれしかない。 中毒だな…完全に。 実は、こなたは大学でも友達が全く出来ず、 こなたの周りの空気が読めないという性格からも、 あまり学生と馴染めない空気が続いていた。 よく、高校生の時こんな私とあの3人は親友になってくれたと思う。 そして、1年生も終わりという時、 とうとうこなたは家に閉じ篭もるようになり、初めて留年を体験した。 こなたはそんな大学生活にうんざりして、ついに退学してしまったのだ。 また高校生の楽しかった日々に戻りたい。 しかし、大学を中退したことは、かがみ、みゆき、つかさには言っていない。 あの3人に心配をかける訳にはいかない。 あの3人だけが、私の親友と呼べる存在だから。 そして昨日かがみは大学を卒業して、京都から糟日部へ帰って来たという。 相手の実家も、偶然ながら糟日部にあるらしい。 そして、昨日こなたの携帯に明日は会えるかなと、メールをしてきたのだ。 でも、何で今居るのが私だけなんだろう… それを尋ねると、たまたま二人共都合が悪く、 どうやら明日の午後には会えるということらしい。 皆、忙しいんだな… 暇と退屈を持て余しているのは、私だけだったのだ。 それにしても、外の空気は久しぶりだな… かがみと喋っていると、高校生だった頃の事を思い出す。 文化祭のこと、皆で海に行ったこと。 話をすればするほど、そうそうこんなことがあったねと、 走馬灯のように脳裏を駆け巡る思い出に、二人して笑い合える会話が続いていた。 それは楽しかったのだが、内心は会話を重ねる度に鬱になりつつあった。 もう高校生には戻れないのだ、と。 そして、新たな事実。 かがみが妊娠したのだ。 どんな子供かな… きっと、いい子だろうね。 かがみんの子供なんだから、いい子で当然だよね。 こなたは、もう人生を諦めかけていた。 お父さんは、そんなこなたを精一杯慰めてくれてるが、 こなたは耳を貸そうとしない。 私は、ダメ人間だ… 「こなた、最近元気?」 「え、あ…うん。まあ」 「何かあったの?」 「ううん。大丈夫だよかがみん♪」 「そう…何かあるんなら、相談しなさいよ?」 こなたは、無理に笑顔を作った。 最近無表情な生活がずっと続いているせいか、笑顔というものさえ忘れかけていた。 かがみと話していると、時間が短く感じる。 ネトゲの時もだけどね。 かがみは、高校生の時より凄く大人になった。 それは当然なのだが、かがみは化粧をしていて、劇的に美人になっていたのだ。 それに比べて私は化粧の仕方を知らないので、 ファンデーションをあてただけで出てきてしまった。 こんな顔だけど許してね、かがみん… かがみと話している間に時は流れ、もう昼を過ぎていた。 「あ、こなた。そろそろ帰るね」 「え、もう帰っちゃうの?」 「うん。私を待ってる人がいるから…」 「そっか。うん。じゃあね、かがみん」 「バイバイ、また明日ね」 かがみはそうして店を出て行った。 こなたも、その後すぐに店を出た。 家に帰ると、また憂鬱な日々が始まるのだ。 自分の部屋に入り、パソコンをつける。 そうして、一日は終わった。 ちなみに食事は、お父さんが作ってくれている。 お父さんは、私の部屋の前に出来た料理を置き、ドアをノックする。 しかし、お父さんは部屋には入らない。 それが食事の合図だ。 私は人のために何か役に立ちたいと思っていた。 しかし、私はいつも助けてもらってばかりで、何も出来ない自分が情けなかった。 次の日の午後、こなたはつかさ、みゆき、かがみが待っている、 つかさとみゆきの住むアパートへ向かった。 つかさは、現在みゆきと同居しているのだ。 こなたは、久々に会う親友に少し緊張感を覚えた。 出来れば嘘はつきたくない。 でも、皆に心配をかける訳にはいかない。 私の現状をばらさないためにも、演技をしよう。 そして、ドアを開けた。 「やっほー、つかさ、かがみん、みゆきさん。久しぶりだねぇ♪」 「わあ、こなちゃんだ!久しぶり!」 つかさはいつものように可愛らしい笑顔を見せてくれた。 「久しぶりですね、泉さん」 みゆきさんは、高校生の頃から大人な感じだったけど、更に綺麗で美人になっていた。 「おっす!こなた」 かがみんは、私よりも先に到着していたようだ。 しばらく4人は、会話を楽しんでいた。 高校生の頃の思い出が、ひしひしと現実になっているのだ。 今、この部屋は高校生時代にタイムスリップしているのだ。 しかし、つかさの一言によって、現実へと引き戻されることになった。 「みんなは今、何してるの?」 「私は、結婚生活を楽しんでるわ。昨日も二人でカレーライスを食べたしね」 「へぇ、お姉ちゃんたら、羨ましいなぁ。でも、料理はできないけど」 「うるさい!」 「かがみさんも別に下手ではありませんよ?」 「そ、そうよ!別に全部作ってもらってた訳じゃないわよ!」 「へぇ~そうなんだぁ」 「う、うるさい!!」 すると、かがみは顔を赤らめて、言った。 「…実はね、私…妊娠してるの」 「えええ!?本当?お姉ちゃん!おめでとう!!」 「それはおめでたいですね」 「こなたには昨日会った時に言ったのよ。ね、こなた?」 「あ、うん!」 「そういえば、こなちゃんは今何やってるの?」 「うぇっ!?…えーと…」 とうとうこの時が来てしまった。 …言葉が出ない。 どうしたら… 「ア、アルバイトしてるの…」 「へぇ~、こなちゃんもなんだね」 「え?じゃあ、つかさもバイト?」 かがみが聞いた。 「うん。まぁね。生活費はほぼみゆきさんが賄ってくれてるけどね」 「つかさも早くいい仕事見つけなさいよ?」 「う、うん。分かってるよ、お姉ちゃん」 「こなた、あんた何のバイトやってんの?」 「…ぇ…まぁ、色々と…」 「色々?色々とは何ですか?」 「えーと…そうそう!困ってる人の手伝いをするバイト!」 「…」 会話が止まった。 「あ~なるほど。つまりボランティアね。こなたは偉い!」 「自分から進んで周りの人の役に立ちたいなんて、そうそうできることではありませんよ」 「すごいね、こなちゃん!」 「い、いやぁ~アハハ…まぁ、小さい頃からの夢だったもんで…」 何とか誤魔化せたようだ。 よかった…。 しかし、心の奥にある罪悪感だけは振り払うことが出来なかった。 そうして、会話は将来の夢へと進展し、この日のミニ同窓会は終わった。 私は将来の夢については、まだ考え中と言った。 かがみんはいいお嫁さんになる!と照れながら叫んでいた。 やはりデレは可愛いな、かがみんは。 つかさは、真夜中に一人でトイレに行けるようになりたいと言っていた。 やっぱり天然だなつかさは。 そして、みゆきさんは有名会社の社長になりたいと言っていた。 夢が大きいな、みゆきさんは。 家に帰ると、やはりネトゲに走ってしまう。 でも、今日は少しだけ安心した。 やっぱり、皆と居れば楽しいんだな。 そして月日は流れ─ 再び鬱な生活が毎日のように続いているとき、 久々に携帯にメールが入った。 メールはこの前のかがみんの時以来だ。 どうやら、つかさからのメールらしい。 慌てているのか、少々文字が乱れている。 『子供がうまたよ!』 こなたは瞬時に理解した。 そう、かがみの子供が産まれたこと。 この前妊娠したばかりだって言ってたのに…月日は早いものだな。 こなたは、いつの間にか外は雪景色であることに気づいた。 そうか…もう冬か… こなたは、ジャンパーを羽織り、家を出た。 携帯で再確認してみると、かがみは家の近くの産婦人科で出産したらしい。 こなたの家からは10分とかからない程の近さである。 みゆきさんも今、病院へ向かっているらしいのだ。 病院へ着くと、つかさが入り口で待っていた。 「遅いよこなちゃん!早くこっちだよ!」 「うわぁあ」 つかさがこなたの手を引っ張った。 まだ、つかさは出産直後のかがみんと会っていないらしい。 ガラス越しに、つかさは指をさす。 「ほら、あれだよ!奥から2番目の…」 ネームプレートには、柊かがみと書かれてあった。 かがみんの赤ちゃんは、静かに寝息を立てていた。 「本当だ。あの子なんだね…やっぱり可愛いな…」 「お姉ちゃんの子だからね」 「うん」 そして、私とつかさは次にかがみんに会いに行った。 病室に入ると、かがみんはベッドでぐったりしていた。 やっぱり、疲れたんだろうな… しかし、かがみんの主人は険しい表情をしながら病室を出た。 普通なら、泣いて喜ぶはずなのに… 何か、あったのだろうか… 両親は、つかさ曰く出産を見届けた後、先祖の報告のために帰宅したそうだ。 私は、かがみんの近くに居た医者に尋ねてみた。 「あの…かがみさんに、何かあったんですか?」 「言いにくい事ですが…」 医者は、口を開いた。 「実は、かがみさんの容態があまり良くないんです…」 「…と言いますと?」 「このまま昏睡状態に陥って、死に至ることも考えられます…」 「まさか…え…そんな…お姉ちゃんが…!?」 つかさは、言葉を失った。 私も言葉を失った。 他にも医者は何か言っていたような気がするが、よく覚えていない。 かがみんが、死んでしまうなんて。 何で、かがみんが… こなたは一日中考え続けていた。 何で、私じゃないの…? 神様は、どうして私を選ばなかったの…? これは、運命の悪戯なのだろうか。 それを考えていると、夜も眠れなかった。 自分には何かできることはないだろうか。 私は、タダの駄目人間。 今人として生きている価値は、あるのだろうか。 実際に、生きていなければならない人間が運命の悪戯を受け、 悲しい運命を目の当たりにするという… 神様は、時に人に幸福を与え、時に人を悲しみに陥れる。 それが、この世を成立させている鉄則であり、 これから先、それを打開することは不可能であろう。 かがみんは、私の親友の一人。 それと共に、私を精一杯支えてくれている親友より近い存在である。 思えば思うほど可哀想過ぎる。 かがみん…私…どうしたらいいの…? みゆきさんも後から病院に来たが、私が事情を説明するとその場で 泣き出してしまった。 かがみんも、実はこの事を隠していたのだろうか… だっから、お互い様だね。 こなたは、寝床で泣き明かした。 私なんかより、かがみんが生きていないと意味がないんだ… この世には、幸せに生きていくべき人達がいる。 かがみんは純粋な人生の道を歩いているが、私は道を完全に外れてしまっているのだ。 戻れるかどうかも分からない。 かがみんは、昔から身体は強いほうだと思い込んでいた。 しかし私が今日病院から帰るとき、つかさ曰くかがみんは、 京都に滞在しているとき、若い結婚や妊娠という過度のストレスや、 几帳面で真面目で、責任感は強いが周りの目を気にするという性格も重なり、 更に追い討ちをかけるような出産の所為で、 とうとう心臓に疾患を患ってしまったのだという。 つかさは絶望に浸りきっていた。 私が慰めてもただ「うん」と頷くだけで、耳には届いていないようだった。 こなたは、ふと自分の母かなたのことを思い出した。 かなたは、こなたが小さい時には亡くなっていたのだ。 私は、お母さんの温もりを知らない。 お母さんにひざ枕して貰ったり、一緒に買物をしたこともない。 ただ、その代わりにお父さんが人一倍頑張ってくれた。 私は、かがみんを死なせたくない。 ただ、その一心だった。 先生の言葉は、もうかがみは助からないという意味を持っていたのかもしれない。 かがみの子供が目を覚ましたときには、お母さんはこの世にいないのかもしれない。 かがみん…私達に相談してくれれば良かったのに… 思うたびに、私も人のことは言えないと実感する。 私も、大学を中退したことを皆に伝えていない。 しかも、ボランティアをしているという嘘をついた。 …このまま私達が何もできないままかがみんは死んじゃうのかな… 夜は明け… かがみが死んでいないことを願いながら、病院へ向かった。 産婦人科からかがみんは市民病院に搬送されたらしい。 市民病院の入り口のロビーには、つかさが座っていた。 何も食べていないのか、やつれているように見える。 「つかさ、かがみんは?」 「あ、こなちゃん…?うん、お姉ちゃんなら、集中治療室だよ」 「そうか…じゃあ、面会時間が限られているんだね」 「うん。11時からだって…」 「何分くらい会えるの…?」 「うん…10分だって。まずは、お母さんとお父さんが面会するの その次に私だったんだけど、今こなちゃんが来てくれたから、 私とこなちゃんね。 その後、お姉ちゃんの主人が会いに来る予定なの」 「みゆきさんは?」 「ゆきちゃんは、仕事場とか近所の人に、 臓器提供にかかる資金を寄付してくれる人を早急に募ってる。 もうお姉ちゃんの心臓も長くないからって」 「…そっか…」 「ごめんね、こなちゃん。迷惑かけちゃって… 私、お姉ちゃんに臓器提供しようと思ったんだけどね… 私のはあまり丈夫じゃないから、駄目だって…」 つかさは、とうとう涙を流した。 「でもさ、心臓を移植するってことはさ、 その移植した方の人は死んじゃうんだよね?」 「そうだよ。しかも、移植された方も 100%の確率で日常生活に復帰できるとは限らないみたい…」 「そうなんだ…」 そして沈黙の時が続き、いよいよ11時がやってきた。 面会時間はたったの10分らしい。 その時、かがみんのご両親が来たので私は一礼をした。 つかさは、両親に泣き崩れていた。 可哀想なつかさ… 可哀想なかがみん… どうして、こんなことに… 私まで涙が出てきた。 かがみんの両親は、つかさを励まして泣き止ませ、そのまま集中治療室に向かった。 10分というのは、本当にあっという間であり、 もう両親が帰ってきた。 両親曰く、かがみの意識は戻ったらしい。 つかさは両親に、こなたも面会をすると告げ、 二人の了承を得た後、つかさとこなたは集中治療室へ向かった。 私とつかさはガウンを羽織り、靴を履き替え、 そして手を念入りに洗い、病室に入った。 中に入って、私達は唖然とした。 点滴柱から何本もの管がかがみんの腕に挿入されている。 かがみんの口には酸素マスクが施され、 かがみんの呼吸音が明確に聞こえてくる。 それと共に、ベッドの隣にある心電図が弱弱しいかがみの鼓動を 短い電子音で明確に刻んでいる。 かがみんの顔は、少々やつれているように感じた。 あの、活気付いた優しい頼りがいのあるかがみんとは まるで別人のような気がした。 つかさは涙を堪えながら、かがみんに歩み寄って声をかけた。 「お姉ちゃん…私。つかさだよ。こなちゃんも居るよ?ほら」 かがみんは、目を開いた。 私も、かがみんに歩み寄る。 「かがみん…こなただよ」 「……おーっす……こな…た」 かがみんは、か細い声で返事した。 「かがみん……大丈夫?」 かがみんは、ゆっくり頷いてくれた。 私は、かがみんの手を握る。 「かがみん……きっと、大丈夫だよ!」 私には、これくらいしか言うことができない。 本当に情けない。 かがみんは、ゆっくり頷く。 つかさも、かがみんの手を握る。 「お姉ちゃん。がんばってね」 そうしているうちにもう10分経ってしまったので、 私とつかさは、最後に精一杯の笑顔をかがみんに見せた。 かがみんも、泣きながら笑ってくれていた。 病室を出てガウンを脱いでいると、かがみんの主人とすれ違ったので、 礼をしておいた。 主人の手元には花束があった。 「やっぱりショックなんだろうね…」 「かがみんのご主人?」 「うん。だって出産したのに赤ちゃんの顔もはっきり見れないで来たらしいから…」 「…そうなんだ」 こなたは、その後病院から帰ることにした。 そして、こなたは病院から帰るとき、ふと思いついた。 私が、かがみんに臓器提供をすればいいんじゃないか。 どうせ、私のような人間が生きていたって、社会に何の影響もないだろう。 しかし、それには大きな問題点があることもすぐに察知できた。 血液型の問題だ。 臓器提供には、血液型も大いに関係しているのだ。 高校生に入って尋ねてみた時、かがみんは確かB型と答えていた。 しかし、私はA型なのだ。 お父さんもO型で、お母さんもA型なので、私がB型であることはまず有り得ない。 臓器提供は、B型の人間はB型かO型の人間しかできないのだ。 やっぱり、私とかがみんの間には、越えられない壁が存在したのだ。 その夜、どうしてもそのことが気になるので、つかさに電話をかけた。 「もしもし」 「もしもし、あの、つかさ?いきなりで悪いんだけどさ…」 「何?こなちゃん」 「かがみんの血液型を教えてくれないかな…」 「あ、こなちゃんには言ってなかったかな… 実は、臓器移植ために改めてお姉ちゃんの血液型判定をしてもらったの。 そしたらね…お姉ちゃんはAB型だったらしいの」 「え?AB型?」 つかさ曰く、以前B型だという判定が出たのは かがみが産まれた直後に病院で出してもらった血液型らしく、 A型が凝集しにくく判定しづらい亜種であったこともあり、 今までB型と判定されていたらしい。 そして、出産直後からの検査で、AB型という判定が出たのだという。 こういうことは、結構あるらしい。 「分かった。ありがとう、つかさ」 「うん。何かあったの?こなちゃん」 「ううん、何でもないよ!んじゃね!」 こなたは、すぐさまパソコンに向かった。 ネトゲではなく、インターネットで臓器提供についてのサイトを開く。 AB型は、どの血液型の臓器提供も受けられるらしい。 よかった… やっぱり、天はかがみんのことを見放さなかったんだね… ありがとう、神様。 次の日、私は朝早くからランニングを始めた。 もっともっと私の心臓を丈夫にして、かがみんを確実に元気にしないと。 でも、私が臓器提供するってことはかがみんには秘密にしないと… 私には体力があるんだ。 もう、ネトゲなんてやっていられない。 親友を救うため、私はがんばる。 あれ、これってボランティア…かな? あはは、嘘から出た誠だよこりゃ。 こなたは、河原の土手を走る。 人通りが少ないので、とても走りやすかった。 私は今、人のために頑張っているんだ。 そう思うと、余計に元気が湧いてくる。 鬱な自分とは、おさらばだ。 いつの間にか、既に昼の12時を回っていた。 こなたは、病院まで走った。 つかさは、昨日のように病院の入り口に居た。 「今日も会ったの?つかさ」 「当然だよ…こなちゃん。あれ、どうしたの?その汗」 「あぁ、ちょっと走ってきてさ。あはは…」 「そっかぁ…こなちゃんは体力あるもんね。私とは大違いだね」 「私、もっともっと体力をつけたいんだ」 「こなちゃん、急にどうしたの?」 「つかさ!これは真面目な話だから、よく聞いてね」 「…う、うん」 「私が、かがみんに心臓をあげるよ!」 しばらく沈黙状態が続いた。 「な、何言ってるのこなちゃん… そんなの……駄目に決まってるでしょ」 「じゃあ、つかさはかがみんが死んでもいいって思ってるの?」 「…そ、それとこれとは話が違うよ。 だ、第一お姉ちゃんが許してくれないよ… だって…私達は親友なんだよ?」 「つかさ。私は本当にかがみんに 生きていてほしいと思っているから言ってるんだよ」 「うん。分かってるよ…気持ちだけもらっておくよ。ありがとう、こなちゃん」 「つかさ!お願い!お願いだから分かってよ!」 「こなちゃん。よく聞いてね。 心臓移植というのはね、心臓が動いているけど死亡している提供者を募って 行われるんだよ。 だから、別にこなちゃんじゃなくてもいいんだよ…」 「で、でもさ、私はこの通り健康なんだから! 絶対私のを移植したほうが生存率は高くなるよ!」 「それは…そうかもしれないけど… 私はこなちゃんにもお姉ちゃんにも生きていてほしいんだよ!」 つかさは涙を流した。 「つかさ…」 「だから、もうやめてよ。そんなこと言うの…」 「…」 つかさは、病院から出て行ってしまった。 こうなることは分かっていた。 でも…私は、決めたんだ。 絶対にかがみんに提供するって。 これが、唯一私にできることなんだって。 こなたは、その後もトレーニングを続けた。 その夜、つかさから電話がかかってきた。 「もしもし?」 「もしもし、こなちゃん?実は… お姉ちゃんの容態が急変したらしいの」 「えっ…」 つかさによると、もういつかがみんの心臓が停止するか分からない状態らしく、 早急に提供できる人間を探しているのだが、見つからないらしい。 医師曰く、もう諦めたほうがいいと言われたという。 「そんな…」 「こなちゃん。色々心配かけてごめんね。ありがとう…」 「何言ってんのつかさ!私が居るじゃん!」 つかさは黙り込んだ。 「私にかがみんの臓器提供をさせてください!」 「こなちゃん…ダメだってば」 「だってさ、私みたいなネット廃人が生きててもしょうがないでしょ」 「だからこなちゃん…」 「つかさ、実はね。私は大学を中退したんだ…」 「え…?」 そして、私は今まで隠していた事を、全部つかさに話した。 「そうだったんだね……でも…こなちゃん…」 「いい?つかさ。 かがみんにはね、子供が出来たんだよ? あの赤ちゃんのお母さんは、 世界中どこを探したってかがみんしかいないんだよ? 私にはよく分かる。 お母さんが居なかったことの辛さが。 今まで隠してたけどね。 本当は、物心ついた時に一目会いたかった… そんな気持ちにさせたくないよ、かがみんの子供にも。 かがみんにも、あの子供をもっとだっこさせてあげたいんだよ。 せっかく生まれたかがみんの子供なんだから。 分かるよね、つかさ? つかさには将来があるし、みゆきさんにも将来がある。 私の将来…まぁ、あるかもしれないけど、 かがみんより遠い将来なんか考えていない。 それに、今が私の夢を叶えられるチャンスなんだよ。 人のために役に立つ。 それって身近なんだけど、すごく大切なことなんだよ。 だから、もう一度聞くよ?つかさ。 私に、臓器提供をさせてください!」 私は、言いたいことは言った。 もう、全てを言い終えた。 あとはつかさの返答のみ。 「…では…お姉ちゃんを…よろしくお願いします」 こなたには、つかさが電話越しに泣いているのが伝わってきた。 「ありがとう…ひくっ…こなちゃん… そんなに…お姉ちゃんのことを…想ってくれていたんだね…」 「当然だよ、私達は親友じゃん!」 「じゃあ、こなちゃん…本当にありがとう…また明日ね」 「うん!また明日!」 そして電話は切れた。 やっと、つかさは分かってくれた。 そうと決まれば、明日もトレーニングだ! 翌日も、こなたのトレーニングは続いた。 病院に着くと、いつものようにつかさはロビーにいた。 「こなちゃん、今日もトレーニング?」 「うん!出来るだけ丈夫な心臓をかがみんに提供したいからね!」 「こなちゃん…ありがとう!」 つかさは涙を流した。 「つかさ。大丈夫。私は平気だから。かがみんのためだもん」 「でも、やっぱり親友がいなくなるのは…辛いね…」 「大丈夫!私は居なくなるわけじゃないよ!かがみんの中で生きるんだよ!」 「…そう、だね。うん、そうだよね!」 そして、つかさと私は医者に心臓提供について報告した。 医者は、本当にいいのかどうか何度も繰り返したが、 その度に肯定をした。 医者は、私の手をがっしりと掴み、 「本当にありがとう」 と言ってくれた。 このことは、みゆきさんにも伝えた。 みゆきさんにも、何度も止められたが つかさの説得によって涙ながらも納得してくれた。 私が自分の意思で臓器を提供する、 それも人間が生きていくうえで必要不可欠な器官を、 他人に与えようとしている。 それは、自殺に繋がっているということは自覚している。 しかし、かけがえのない親友のために役に立つことには変わりない。 将来、かがみんの子供にもよろしく言っておいてもらおう。 かがみんがこのことを知ったら、どんな顔するかな… ショックを受けないだろうか。 いや、多分大丈夫だよね。 こなたは、明日に迫る手術のため、必死でトレーニングをすることにした。 かがみんには、立派に生きてもらわないと。 そうしないと、私がこうしてがんばっている意味がないもんね。 今日は病院には行かない。 その代わり、今までにやり残したことがないかどうかを確かめる。 そうだ、ネトゲの住民にも伝えておかないと。 私は常連だったんだから。 誰もが冗談だと思うだろう。 しかし、私は嘘なんかついていない。 さようなら、みんな。 私は、トレーニングから帰宅した時、久しぶりにお父さんの顔を見た。 電気の消えた部屋の中で、お父さんは一人ソファに座って俯いていた。 お父さんは、かなりやつれているようだった。 いつもの、エプロン姿で飛んでくるお父さんはもういなかった。 自分が今までお父さんに頼りきりだったことをまざまざと感じさせられた。 私は、本当にこんなに自分を助けてくれた人を残して逝くのか…? 今私がこうして元気になったからこそ、これからはお父さんの為に 孝行していかなければならないんじゃないのか? 罪悪感がこなたの固い意志を蝕んでゆく。 「おぉ、こなたか…おかえり」 そうじろうは、暗闇に呑まれかけている部屋の前で立ち尽くしているこなたに気づいた。 そして、そうじろうが微笑みかけてくれるのが、こなたにははっきりと見えていた。 「お父さん…」 私は、お父さんに抱きついた。 「ごめんね、今まで…」 「こなた…」 とうとう感情を抑えきれなくなり、こなたはお父さんに泣き崩れた。 「本当に、ごべんなさいぃ…っぐ…ぇぐ」 「こなた…お前、いいのか?」 「えっ…」 「これまでずっと部屋に籠りきりだったお前が、 急に外に飛び出して帰って来ないもんだから… 何か予感がしたんだ…」 「全部聞いたんだね…」 「さっき柊さんの両親から電話がかかってきて、教えてもらったよ…」 「お父さん…勝手なことして…ごめんなさい」 私は、許してもらえるわけがないと判っていたが、 お父さんに深々と頭を下げた。 「…本当にそれでいいのか?」 「私、精一杯考えて決めたんだよ」 「考え直すことは…できないか…」 「……ごめん」 部屋の中は、沈黙に包まれた。 「俺は…ずっとお前の意志を大切にしてやりたいと思ってきた… でも、これはお前じゃなくても出来る事じゃないのか…?」 「お父さん、もう時間がないんだよ。 今、一番元気な心臓をかがみんにあげられる私しかいないんだよ」 「こなた…お前の実の父としてひとつだけ言う。行かないでくれ」 「…ごめん……お父さん…私の事、気が済むまで叩いて。 こんな馬鹿な子に、一生懸命尽くしてくれたのに、 それを裏切る様な行為をしてる私を、叩いて…」 そうじろうは、おもむろに立ち上がり… 暗闇に包まれた部屋に、初めて乾いた音が鳴り響いた。 その直後、そうじろうは泣き崩れながらも、頬の腫れたこなたを精一杯抱きしめた。 「こなた…逝かないでくれよ…頼むよ…」 こなたは、ただひたすら謝ることしか出来なかった。 そんな自分に殺意さえ覚えた。 手術は明日の朝行われる。 私の命は、その日でストップする。 そう想うと、無邪気にも涙が溢れ出てくる。 今まで幸せだったよ、みんな。 死ぬのは怖い。 それは誰だって同じ。 かつて国のために戦った神風特攻隊も、 私と同じような気持ちだったに違いない。 私の人生は、明日終わる。 もう、取り返しはつかない。 でも、私は軽はずみで決断したわけではない。 死んだら人間ってどうなるんだろう… 死んだものは、決して帰らない。 だから、死後の世界は今後永遠に不明なままなのだ。 他の何かに生まれ変わるのか、天国か地獄に行くのか… こなたは声を上げて、ひたすらそうじろうの胸の中で泣いていた。 自分の今までやってきた事の愚かさ、実の父に対する残酷な行為を全て吐き出す為に。 かがみん、つかさ、みゆきさん… その夜は、そうじろうと二人で床につくことにした。 私の20年以上の人生を、二人で回顧していた。 時には笑い、時には怒り、時には驚いたり。 明日から私は、かがみんの一部になるんだ。 たとえそれが違法だったとしても、人の命を救うのに法律なんて邪魔なだけ。 そうだよ。 私は明日からかがみんの中で生きるんだよ。 死ぬんじゃない。 新たな生活が始まるんだ。 そう思うと、少しばかり気が楽になった。 翌朝早朝─ そうじろうは、既に家に居なかった。 こなたは、ともかく病院へと歩いた。 自分が決断した処刑場へ。 それと共に、私の生まれ変わる場所へ。 もう未練はなかった。 たとえ残っていたとしても、私のやりたかったことは、 これだったから。 もう私達は、親友以上の存在なんだ。 病院に着くと、つかさとみゆきさん、かがみんの両親、かがみんの主人が待っていた。 私は、一人ずつ握手し、「今までありがとうございました」と告げた。 つかさは、涙を流していた。 もう、この可愛い顔を見ることはできない。 みゆきさんも、涙を流していた。 もう、この綺麗な顔を見ることはできない。 かがみんの両親も、私に精一杯のお礼を言ってくれた。 地球上の感謝の言葉を全て掻き集めても言い表せないくらいの感謝で一杯だ、と。 かがみんの主人も、泣いて喜んでくれていた。 私が神様だと言ってくれた。 …そうだね。これからは皆の神様になるんだね、私。 私は、親友を超越した存在として見送られ、 一番最期にお辞儀をしながら、手術室へと入った。 手術室にはまだ医者が居なかった。 私がごろんと手術台に横たわると、突然手術室の扉が開いた。 「お、お父さん…」 「よかった…まだ間に合ったか」 「どうしたの…?」 「二人で、一枚だけ写真撮らないか? 大丈夫、携帯じゃなくてデジカメだからな…さ、撮るぞ」 そうじろうは、近くの棚にカメラを置き、手術台のこなたの隣で微笑んだ。 私も、最期に精一杯の笑顔を見せた。 フラッシュが焚かれると、医者がぞろぞろと顔を出し、 かがみんを乗せた担架が手術室へ運ばれた。 かがみを担当していた医者が、そうじろうに声をかける。 「こなたさんの、お父様ですか?」 「はい」 「今から、こなたさんの手術を始めますが、よろしいですか?」 「はい、きちんと"娘"を見届けたいので…」 「そうですか…判りました」 こなたの腕に、麻酔が打たれる。 もう少しで、私の意識が途切れるんだ… お父さんの顔がだんだんぼやけていく… 最期に…かがみんと、話がしたかったな… でも、私は今からかがみんと一心同体になるんだ。 それはただの”たとえ”じゃない。 本当に私とかがみんは、一心同体になるんだよ。 みんな、ありがとう、さようなら。 私は、みんなの事を、絶対に…忘れない─ ─手術は、5時間程で終わった。 移植は成功したのだ。 皆は、結果を聞いて涙を流して喜んだ。 数日後、かがみの意識も回復し、普通に話せるようにまでなっていた。 医師曰く、この速さの回復は奇跡だという。 そして、いよいよつかさはかがみに打ち明けることにした。 ”こなた”が、今もなおかがみの中で動いていることを。 かがみは、涙を決して流さなかった。 別に泣くことなんてない。 確かに、こなたは居なくなっちゃったけど、 ”こなた”は、ここに居るんだから。 私の、中に。 かがみの中で鼓動を打ち続けているのだ。 これから先、ずっと。 ずっと。 退院後、リハビリの為に歩いて家に帰ろうとしていたかがみは、 前から歩いてくる見覚えのある顔に足を止めた。 「やあ、退院したのかい?」 微笑みかけてくる彼に、かがみは罪悪感を隠せない。 「この度は…こなたが…本当に…ごめんなさい」 気がついたら、頭を下げて謝っていた。 「いやいや、かがみちゃんが謝ることはないよ。 君が生きていると言う事は、こなたもちゃんと生きているんだし」 「…いつでも、逢いに来て下さい」 かがみは、胸に手を当てて言った。 「ああ、そうさせてもらうよ」 彼は、再び歩き始めた。 「じゃあね、かがみちゃん、こなた」 「さようなら、そうじろうさん」 かがみとそうじろうは、互いに振り返る事もなく、前に歩んで行った。 ─数年後、かがみの子供はもう4歳になった。 今では、幼稚園に通っている。 かがみに似て、活発で元気な女の子らしい。 かがみは、もう退院して普通の日常生活ができるようになっている。 そしてつかさは、今年いよいよ結婚する予定である。 みゆきは既に結婚し、主人との幸せな生活を送っている。 手術費用も、これからずっとかがみとかがみの主人が 払っていくことになるであろう。 でも、それはかがみの命を救うためだったことを考えると、安いものである。 かがみの子供の名前は、もちろんかがみにとって、 そしてかがみんの主人にとって最も尊敬する人間の名前である。 ”こなた” これからも、決して忘れる事はない。 「ねぇねぇ、お母さん、何かお話してよ。このアニメつまんないよ」 「今、洗濯物取り込んでるから、ちょっと待ってね」 「えーやだー、じゃあ夜のアニメ見るー」 夕方の教養番組で流れているテレビアニメに文句をつけているその少女は、 何故か深夜のアニメの方が好きらしく、夜になってもずっと起きてアニメを見ているのだ。 全く、誰に似たんだか。 「全く、こなたは本当にお話聞くのが好きね。 いいわ、聞かせてあげる。今日のはとても素敵なお話なのよ。 寝るんじゃないわよ?」 「寝ないよ、お母さん。早く!」 外で洗濯物を取り込んでいたかがみは、空を仰ぐようにこう言った。 ─それは、世界一神々しく美しい、”こなた”のボランティアのお話… (終)
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「せーのっ」 『明けましておめでとうございます』 「今年もよろしくな、二人とも」 新年。作るのが遅かったせいでまだ暖かい年越しそばのどんぶりを目の前に置きながらの、おきまりの挨拶。 「それじゃあ年が明けましたので。お父さん、お年玉」 「ちゃんと用意してあるさ。二人とも計画的に使うんだぞ」 「え、私の分も?!」 「遠慮せずに貰っておきなよ、ゆーちゃん」 「そ、それじゃあ・・・」 今年・・・じゃない。去年からゆーちゃんが家に来てるから、お年玉はゆーちゃんのも込みだ。 去年と同じ額なら、お父さんの懐はさぞ寒いだろうに。 「じゃあ私、ネトゲの仲間に挨拶周りしてくるよ。黒井先生とか」 「おう、よろしく言っておいてくれ」 「私は友達と初詣に行ってきます」 「そうかい。行っておいで」 思い思いの元日。 部屋に戻ってPCの電源を入れ、起動が終わるまでにお年玉の内訳を確認する。 ・・・やっぱり、去年より少なくなってる。 まあ、しょうがないか。ゆーちゃんも居るし。今度ゆい姉さんに何かおごって貰おう。 まだ立ち上がらないPCを後目に、コピー用紙を一枚持ってきて、筆箱からシャーペンを取り出す。 一年の計は元旦にありと言うしネ。今年こそは・・・そう思ってることを、私は書き出すことにした。 PCも起動したのでゲームにログイン。 右手にキーボード、左手にペン。 コピー用紙に箇条書きにしていく。 「大学落ちても受かっても後悔しない・・・っと。おっと、右手で打ってる文字が割り込んでる」 大学落ちてもヨロって何さ。 そりゃまあ、あの3人には私が大学落ちても仲良くして貰いたいけどさ。 ・・・で、一番最後の項目。 やっぱり、これしかないよね。 「かがみに告白する・・・っと」 何時だったかな?かがみと話すようになったのは。 ともかく、吊り目、ツインテールと萌え要素そろってるかがみに、私は・・・うん、かがみは嫌がるかも知れないけど、『萌えた』。 しかも話していく内に、ツンデレもあるって分かって、ますます好きになっていった。 でもさ、萌えだけじゃ無いんだよ。 一目惚れ、なのかなぁ。つかさ経由で知り合う前から、時々かがみを見かけることはあった。 そのときから・・・何か惚れてたっぽいんだよね、私。 で、萌えと惚れの相乗効果(?)で、気づかない内に・・・かがみが大好きになってた。恋してた。 いつも会う度に、胸がキュンとなるあの感じ。わかるかなぁ、あれがずっと続くんだ。 大好きで大好きで仕方なかったんだよね。 でも、私はその気持ちを言えないで居た。 女同士だからって言うのもあるけど・・・一番の理由は、やっぱり今までの関係を崩したくなかったからかな。 私が原因で、昼休みのあの団欒がぎこちなくなるような事があれば、本当に学校行けなくなるかも知れない。 つかさやみゆきさん、それにかがみにあわせる顔がないから・・・ でも、卒業すれば、嫌だけど4人が顔をあわせることも少なくなる。 そうすれば多少ぎくしゃくしたところで、顔あわせる機会が少ないから付き合いに殆ど影響は無いはず・・・ って、後ろ向きなことばかり考えてるけど、それで今年こそは告白・・・卒業式あたりかな、それくらいに告白しようと思ってる。 一通り挨拶巡りしたところで、私はベッドに横になった。積んであるマンガに手を伸ばす。 「?」 手が止まる。 何かしなきゃ。 そんな感じがした。 結局、何であのときマンガに手を伸ばすのを止めたのかは分からない。 「お父さん、ちょっと出かけてきて良い?」 「こんな時間にかい?」 時計は0時30分を少し回ったところを指している。 こんな時間に外に出る理由といえば 「ちょっと私も初詣行こうかなと思って。かがみとつかさの家の」 「ああ、あの二人の巫女さんの所かい。でも今年は巫女さんで出てないんだろ?」 「でも会えそうな気がしてさ」 ? 「そうか。じゃあ、挨拶に行っておいで。お父さんはまだこの部分は書かないと忘れそうだし、しばらく出られそうにないよ。・・・〆切近いしさぁ」 うわぁ、泣きそう。 かがみ達の巫女姿見に行けないのがそんなに悲しいのか。 だとしたら、やっぱり私のお父さんだ。 「う、うん・・・頑張ってね。行ってきます」 ・・・私、何でかがみに会えそうな気がしたんだろ? そうして、かがみの家の(?)神社に着いた。 かがみ達が出てきてるとしても何処にいるのか見当も付かない。 取りあえず、初詣の列に並ぶことにした。 「はふぅ」 手がかじかむ。手袋はしているけれど、流石にこの寒さはきつい。 見渡せば地面には霜柱。昔よく踏んづけて遊んだ記憶がある。 それから絵馬。かがみは俺の嫁、とか書いて帰ろうかな。それじゃ単なるストーカーか。 そしてかがみ・・・ 「へ?」 かがみが居た。しかもこちら目掛けて歩いてくる。 「・・・」 開いた口が塞がらなかった。 「おーっす、こなた」 「おー、かがみじゃん。あけおめー」 「あ、そうね。明けましておめでとう」 いつものかがみだ。 「あれ?おじさんは?去年来てたわよね。それからゆたかちゃん」 「ああ、お父さんなら、何でも締め切りがマズいらしくて、今必死になってワープロにかじりついてるよ。ゆーちゃんは友達と初詣だって。だから今年は私一人で来たわけ」 長い話になりそうだ。 私は参拝客の列から抜けるように歩いた。 かがみも付いてくる。 「ふーん、大変そうねぇ。・・・所であんたはどうして来たの?受験でしょ」 「何をおっしゃる、かがみ様。こうしてかがみの顔を拝みに来たんじゃないかえ。御利益ありそうだしネ」 「なっ!」 いつも通りの冗談。かがみの顔がボッと赤くなった。 可愛い。 そして、胸がときめく。 「それにかがみだって、仕事じゃないのにこうして出てきてるじゃん。かがみこそ何で?」 「わっ、私は・・・・・・こなたが来る、って気がしたから・・・」 「・・・そっか」 予感はこれだったのだ。運命の巡り合わせか、はたまた神様の悪戯か。 そんなことはどうだって良い。 「私もかがみに会えるような気がしたんだ。だから出てきたんだけど・・・当たったね」 「・・・あのね・・・」 「ん?」 かがみが俯いて、何か言いたそうにしている。 「私、こなたのこと・・・好き」 驚いた。ラックの種って、リアルに存在したっけ? 衝撃に固まること、しばし。 「・・・良かった・・・」 思わず口に出てしまった様だ。 かがみが好いてくれていた・・・だったら、私も言っても良いよね? 計画前倒し。 「私も好きだよ、かがみ」 うれし涙が止まらなかった。 見ればかがみも涙を流している。 「今年もよろしくね」 「うん」 次第にお互いの顔が近くなっていく。 最高のお年玉だった、と思う。 「寒いわね」 「寒いねー」 二人手を繋ぎ、境内をぶらぶらと歩く。 かがみが手袋を持っていなかったから、片方を貸して、素手を握りあった。 「で、晴れてお互いの気持ちが伝わったは良いけどさ」 「ん?」 「報告・・・どうする?つかさや、みゆきさんに言う?」 「・・・どーしよっか・・・」 二人の間ならべつに女同士だろうと何だろうと、関係ない。 が、周りの目はそうも行かない。 世間体を気にしない生き方が出来れば良いんだろうけど、そのせいでかがみが辛い目に遭うようなことがあれば、問題は深刻だ。 百合作品が最近よく出回ってるとは言え、飽くまでそれは作品であり、リアルで百合は好かない、という人だって居るだろう。 隠れてしか二人きりになれないとか、そんなのは嫌だ。 「みゆきは・・・多分話せば分かってくれるわよ。つかさだったら別に問題ないんじゃない?」 「何で?」 「こなたから・・・そう、何て言うの?女の子同士イチャイチャしてるような・・・」 「百合?」 「まあ、そう言うマンガ貸していって抵抗無くせば・・・あの子、そういうのに影響受けやすいから」 「かがみも結構スゴいこと考えるねー。世間一般ではそういうの、洗脳って言うんだよ」 「わ、分かってるけど・・・」 でも確かに、そういう手は有効かも知れない。 紅白でも、性同一性障害(だっけ?)で性転換した歌手が出てたし。 「よし、決めた」 「何をよ」 「ふっふふふふー、良いこと」 「どんなよ」 「私が世間に影響力を持てるようになって、恋人がかがみだってカミングアウトするの。そうすれば、少なからず賛同者が出てくるじゃん?その勢いで署名集めて、同性婚出来るように法改正要求して、かがみの家に『かがみを幸せにします』って言いに行くの」 「!・・・何かまた突拍子のない考えを・・・」 「・・・ダメ?」 「良いんじゃない?でも、どうやって影響力持つのよ」 「コスプレ喫茶で鍛えた演技力で、俳優やるとか。そうじゃなかったら声優とか!私、平野綾そっくりの声出せるよ!」 「それじゃぁ、今からやることは?」 「・・・はい、お勉強します・・・」 「あとそういう声優養成学校みたいな所のパンフの取り寄せね」 やることは決まった。さっきのコピー用紙に書き足しておこうか。 「ところでさ、こなた」 「ん?」 「・・・この後、予定入ってる?」 「無いけど?」 「じゃあ、家に来ない?つかさしか居ないし、多分また寝てるし」 「え。え、えぇっ?!」 「よし、決まりね!さぁ、行こう」 「ちょ、ちょ、まっ」 体の小さな私は、かがみに引きずられるようについていく。 かがみの手がさっきより熱い。 ・・・可愛いなぁ、かがみ。 「ねぇ、ちょっとかがみ」 「ん?何?」 振り向いたかがみの頬に、タイミングを図ってキス。 頬は手よりも熱かった。 「好きだよ」 「私も」 初日の出の時間まで、あと何時間あるかな? コメントフォーム 名前 コメント 明けましておめでとうございます。今年も宜しくお願いします。 -- 名無しさん (2023-01-02 21 49 14) がんばれ -- 名無しさん (2021-02-05 14 12 43)
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こなたに彼氏が出来た。それはかがみにこなたが好きであるという事実を与えたが、英知は与えなかった。 具体的になにをすればいいのか、かがみにはわからなかった。 強引に別れさすのは人としてどうかと思うし、意外とべた惚れのこなたたちに魔が差すのを待っているしかなかった。 (だけど、なんとなくそれは寂しいわ) 自分の卑しい心があるのを感じて、かがみは寂しくなった。友達なんだから別離を応援してどうするのだ。 四面楚歌だ。心に正直に生きるって難しい。 強くなると誓ったはずなのに戦うって決めたのに、なにも出来ずにいる。 だから、今日も下を向いてしまうのだ。こなたのいない帰り道を歩きながら。 登校時や昼食時には、こなたはいた。しかし、どれだけ近くにいても遠い存在だった。 かがみは、平常心をなんとか保ちながら、みんなと話をしていた。それでも、いくらかはへまをした。 たとえば、急にぼーっとしたり、急に泣きたくなったり、その症状は様々だった。 誰もかがみに対して変だとかおかしいとは言わないが、うすうす気がついているのではないだろうか。 日に日にこなたは幸せそうになるが、かがみは辛くなっていく。 実際に、かがみは押しつぶされていたのだ。自分の気持ちと現実との間で。 しかし、それを感じ取った人がいた。 こなたは、かがみが日に日に少しずつおかしくなるのを感じていた。 なにかに耐えているような、そんな感じ。今まで、彼氏のことがあったため、その関連だろうかと思っていたが、つかさやみゆきはそのショックから復活しているのに、かがみだけが相変わらずなのである。 それに彼氏が出来たことで、かがみがそれほどまでに落ち込むことがあるのだろうか。嫉妬とかはあるだろうけど、そんな間接的なこと忘れてもいい頃合のはず。 (おかしい) こなたは、今日彼氏が用事で放課後一緒に帰れないのをきっかけにかがみと一緒に帰ろうと思った。 聞かないまでにしても、慰めることぐらいはできるはずだと考えたからだ。 「おおい、かがみ帰ろう」 「え、でも、彼氏と一緒に帰るんじゃないの?」 「なんか用事があるらしいってさ」 「そう、それじゃ、つかさも呼んで」 と、かがみはつかさを探す。 「あーそうそうつかさ、なんか職員室に呼ばれてたよ。先に帰ってて、だってさ」 「まったく、あの子たらなにをしたのやら」 ため息をつく、かがみ。でも、嬉しそうだ。 「よーし、それじゃ帰ろう!」 かがみは、こなたの申し出が嬉しかった。好きな人と一緒に帰るというのは、新鮮であった。たとえ、それが今までの日常であったとしても。 「いやーほんとに……」 こなたは一方的に彼氏の話題をしゃべる。 本当にこなたは楽しそうだと、かがみは考えると、自分が嫌になりそうだ。 (宣戦布告、戦い、強さ、本当にそれらは必要だったのかしら) やはり、それらはこなたの幸せを思うと、行使できない力だった。 かがみはずっとずっと、考えていた。だけど、その考えは、自分を幸福にする思考でしかなかったのではないか。 そう思考の深みに入りかけた時、こなたは下を向いて少し寂しそうに、 「最近、かがみ変だよ」 「え」 「そうやって、悲しい顔をしたかと思えば、ずっと考えたり、なにか悩みでもあるの?」 こなたの寂しそうな顔をして、やっぱり同じようにかがみも寂しそうな顔をする。 「べ、別にない……わよ」 ここで、すべてを吐露してもよかったのかもしれない。でも、それだと台無しになってしまうから。こなたの幸せが。 「そう」 こなたは依然、寂しそうにしている。 (私がいたらダメになる) こなたの表情を見ながら思った。 (私のせいでこなたが不幸せになる。それなら私なんかいないほうが……) かがみは走り出した。こなたはそれを見て、驚いている。それでも振り返らずにかがみは走った。 (私はこなたと会ってはいけない。だって私は……) どこかの公園のブランコに乗りながら、かがみは息を切らしている。こなたの顔も、こなたの体も、こなたの心も、でもそれ以上に好きだったこなたのことを忘れなくてはいけない。 あの日、確かに強くなると誓った。だけど、強さはいつからか忍耐力へと変わっていくのだろう。そうやって、ブランコのように揺れる心も、今は停止させて、ただ忘却に放り出さなくてはいけない。 もしかしたら、最初から強さなんて必要なかったのかもしれない。ただ、諦める強さだけ必要だったのかもしれない。 (諦めよう) 最初からそうしていれば苦労はなかったのに、とかがみ自嘲気味で思う。 (諦めることで全てがよくなるのなら……) 「かがみ……」 声が聞こえる。それは心からでもなく、まして天からでもない。目の前の少女からである。 「……こなた」 目の前の少女は髪を乱し、息を切らしていた。 「こなたっ!」 探してくれたんだと思うと急にかがみは泣き出した。 そんなかがみを見て、こなたは少しだけ困っていたが、やさしく抱きしめた。 かがみはこなたの胸でずっと泣いていた。すべての思いをこなたに伝えようと必死に泣いていた。 「かがみ、泣いてばかりじゃわからないよ」 母親のようなやさしい声でいった。うんと頷くと、かがみは降参した。 「あのね……」 言っていいのだろうか、迷った。だけど、こなたには勝てない。こなたから離れて、ちゃんと相手の目を見て、 「こなたのこと、好きなの」 こなたは驚いた様子を見せたが、いつものちょっとふざけた顔をしながら、 「じゃあ、両思いだね」 「え、どういうこと」 「私も、かがみのこと好きだよ」 とても軽い調子でいう。 「え、あ、え!」 口が思うように動かない。どこから質問すればいいのかわからないのだ。 「か、彼氏のことはどうするのよ」 「いやーだって彼氏とかがみは別物じゃん」 「私のこと好きって、それは友達としてだったの? だとしたら私は、こなたのこと……」 「わかっているよ、かがみ」 こなたは空を見ながら真面目にいう。 「だったら、別物って……」 「かがみは、私のどこが好きなの?」 「えっと……」 どこだろう。顔? 声? 体? 心? ううん、どれも正解でどれも違う。そう答えは、 「こなたが好きなの。こなたと一緒にいるのが好きなの」 「うんうん。私も、かがみが好き。かがみと一緒にいるのが好き」 そういってから、こなたは一息ついて、 「だから、きっとそれは浮気じゃないんだと思うよ」 きっぱりという。それを聞いて、 「なんだか、それって男が浮気するときの言い訳みたい」 とかがみは笑いながら言った。やっぱりこなたには勝てない。 「というわけだから、かがみ一緒に帰ろ」 手が差し伸べられる。それを取り、二人は手をつないだ。 「やっぱり、笑顔のかがみが一番いい」 「私も、笑顔のこなたが一番いい」 そういいながら、二人は笑顔になる。これから何度も波乱があるだろうけど、今この瞬間はこなたを感じていたい。 こなたと一緒にいられる、そんなありふれた幸せを。 終わり コメントフォーム 名前 コメント G…J? ;^-^)b -- 名無しさん (2023-03-14 11 21 43) 別物? -- かがみんラブ (2012-09-20 08 29 40) 三人称視点で話し進める必要性はないと思う。 あ、でもでもとにかくお疲れさまです( ^ ^ )/□ -- 名無しさん (2011-02-26 22 35 10) そんな都合のいい二股はいかがかと。 -- 名無しさん (2010-04-14 21 12 34) うーん… -- 名無しさん (2010-03-30 01 51 30) いいんだけど やっぱりこなたにはかがみ一筋でいてほしい… -- 名無しさん (2010-02-18 00 01 33) 良い作品だと思います・・・でもでも、 かが×こなファンの自分にはビミョー!! -- kk (2010-02-15 19 10 29) いい話だが……これは………。 -- 名無しさん (2010-02-15 16 17 11)
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「かがみおかーさんっ!!」 紫色の髪を後ろで二つにまとめた少女が、かがみの左腕にしがみついた。 「もう…かなたは甘えん坊ね」 かがみは微笑みながらその子の頭を撫でる。 「かがみぃ~っ!!」 すると今度は、背はちっちゃいが少女ではない、かなたと瓜二つの顔の女性が正面から抱きついてきた。 「あ…あんたまで抱きついてくるなっ!!」 「いいじゃ~ん、私はかがみの嫁なんだからさ~」 「こなたお母さんも甘えんぼだね」 「だって、かがみが可愛いんだもん♪」 かがみの前に、同じ顔が二つ並ぶ。 「全く…」 「ほらぁ~、かなみもおいで~!」 「わ…私は別にいいわよ…!」 青い髪を長く伸ばしたツリ目の少女が答えた。彼女は、長女かなたの妹である。 「ふーむ、かなみはかがみと同じツンデレになっちゃったんだね」 「だ、誰がツンデレだっ!!」 納得するように言うこなたをかがみがツッこむ。 かなみは、その様子をちらちらと横目で見ている。 かがみはその子の方を向いて呼び掛けた。 「かなみ」 優しく、呼び掛けた。 「おいで」 かなみは、頬を赤く染めながら、かがみの右側に座った。 かがみがその子の頭を引き寄せると、かなみの方から寄り添ってきた。 「ん~、やっぱ家族みんなで一緒にいるのがいいネ」 こなたが、隣のかなたの頭を撫でると、かなたは気持ち良さそうな顔(=ω=.)をしていた。 あめ玉へ続く コメントフォーム 名前 コメント (*´꒳`*)b -- 名無しさん (2023-05-25 13 25 48)